第176章 送り客

「私から見れば、育ててくれた母のほうが、あなたたちより何千倍もいい。私の人生で『お母さん』は、あの人ひとりだけ。……昔の私は馬鹿だった。あなたたちに気に入られたくて、必死に媚びて。でも、もう終わり」

言葉はゆっくりだった。けれど一音一音が、そこにいる全員の胸の奥へ、はっきりと叩きつけられる。

さっきまで作り笑いを浮かべていた佐藤母が、足元をよろめかせた。転びそうになって、慌てて踏みとどまる。

震える指で南坂海乃を指し、息が詰まったように口を開いた。

「な……何を言ってるの? 私を……母親だって認めないってこと?」

「そう。あなたたちが望んだ結果でしょう?」

南坂海乃の中に残ってい...

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